すべての始まり


麗らかな初夏の休日、目を覚ました時から次女の様子が変だったので、風邪でも引いたかなと体温を測ると37.6℃。

・・・ビミョ〜。

もともと子供の体温は高いので37℃ぐらいでは大騒ぎする事ではないのですが、夕方に向けて熱が上がっていく可能性が高いのです。

病院に連れて行くか、それとも安静にしておくか。

少し悩みましたが、やはり出来るなら病院には行きたくないものです。・・・という訳でとりあえず安静にしておくことにしました。

・・・これが悪かった。

しばらく様子を見ていたのですが、熱は一向に下がる気配を見せず、午後3:00の段階で38.6℃。

・・・もう限界。急いで次女を休日診療に連れて行きました。

次女は初診なのでカルテを作るために、問診票を書いていた妻の手が

体重

という欄で止まります。

次女の体重って何キロだっけ・・・。

私も分らないので夫婦で考えていると、看護婦さんが体重計を持って来て優しく教えてくれました。

「これで最初(妻と次女が)一緒に乗って、その後1人で計れば子供の体重が出るよ。」

その言葉を聞いた瞬間に、目が三角形なる妻。

「パパが乗って!」

妻が急にこっちを向き、次女を私に押し付けます。

これには看護婦さんも困ってしまい「・・・(体重)見ないから大丈夫だと思うけど・・・。」

・・・妻全然聞いてねぇ。

私の胸にぐいぐい押し付けられるぐったりした次女。

私の中で何かが弾け、
「体重ぐらいどうだっていいだろう!お前は自分の体重と次女どっちが大事なんだ!」

気がついたら病院内で怒鳴ってました。別に私が一緒に体重を計るなど簡単な事です。ですがこんな時まで体重を気にする必要は無いと思うのです。

「そんな事言うんなら、パパが測ればいいじゃない!!」

私の数倍の音量で響き渡る妻の怒声。
何事かと看護婦さんが飛び出してきて慌ててフォロー。
「体重なんて適当で良いのよ」
その言葉が言い終わらないうちに

「適当で良いなんて簡単に言うな。大切な事だ!!!」

診察室から響く先生の怒声。

もう収拾が付きません。私自体、妻の行動には納得していないのですが、この地獄の三つ巴戦を収めるには私が我慢するしかないのです。

私と次女が一緒に測り、次女の体重は7kgとわかりました。

・・・その後の診察では、先生から風邪云々よりも体重の正確さの必要性について懇々と説教されてしまいました。


・・・全てはここから始まったのです。


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